参考情報: 輸入業者における有機JAS認証取得

はじめに

輸入業者が有機JAS認証を取得するための主な作業の流れについて、以下に示します。

有機JAS認証取得までのおよその作業期間

会社規模、取り扱い品目など様々な要因によって認証取得までの作業期間は大きく異なりますが、概ね数ヶ月を要します。

AFCにおけるコンサルティングの作業範囲

AFCにおけるコンサルティングの作業は、通常のコンサルティングの場合、以下に示す「ステップ1」から「ステップ4」までの範囲です。また、「ステップ5」で示す実地検査および判定における是正処置についての支援も可能ですので、もし支援が必要な場合には、AFCまでお問い合わせください。

ステップ1: 現地調査および有機JAS規格および基準の概要説明

有機JAS規格および基準などの知識習得および輸入品目の確認

有機JAS認証取得を予定している関係者は、有機JASに関する制度、規格、および基準に関する知識を習得するために、これらの概要説明を受ける必要があります。

また、法律に照らし合わせることによって、輸入し、有機JAS品として日本国内で販売可能な品目であるか否かを確認します。(海外の有機品に対して有機JASマークを貼付するためには、いくつかの条件があります。)

現地調査

有機JASの認証取得が可能な受入保管施設であるか否かを調べるために、現地を訪問し、立地条件、施設、設備、および管理体制などを確認します。(自社の受入保管施設を持っていない場合、契約倉庫を受入保管施設とすることも可能です。)

なお、受入保管施設である倉庫で管理する有機品が、禁止物質からの汚染の回避および非有機品との区分管理ができない場合などは、認証の取得は困難です。また、大豆などを受入だけではなく、撰別を行う場合には、別途小分け業者の認証が必要です。

ステップ2: 認証のための体制の確立

体制

輸入業者が単独で認証取得を目指す場合、あるいは倉庫業者と一体となって認証取得を目指すなどのケースがあります。それぞれのケースにおいて、受入から出荷までの責任の所在を明らかにし、倉庫業者との管理も含めた認証取得および維持管理のための体制確立が必要です。

また、認証事業者になった場合には、有機JAS製品の取り扱いなどに関する事故および間違などが発生しないように、組織を整備し、維持管理しなければならないことにも十分留意する必要があります。

担当者の選任

有機JASマークの適切な表示のためには、受入保管担当者、格付表示などの業務を担当する者を選任しておく必要があります。日常業務において、その業務を熟知している人をこれらの担当者にすることが適切な方法です。

受入保管責任者および格付表示担当者は、認証取得前に登録認証機関が指定する講習会の受講が必要です。したがって、認証取得を円滑に進めるためには、担当者の選任および講習会への申し込みなどを早めに済ませておくことが望ましいです。

ステップ3: 技術的基準への対応

内部規程の作成

有機JASの認証事業者になるためには、「有機JAS認証の技術的基準」に記載されている項目を含む内部規程を作成し、これに従った業務を行うことが要求されます。

ただし、事業者の実情にあった内部規程を作成しない場合、労力を費やして作成した内部規定が「絵に描いた餅」になってしまい兼ねません。したがって、この作成作業には十分な時間をかけ、注意を払って取り組む必要があります。

内部規程のレビュー

内部規程の作成後、この内部規程どおりに運営し、内部規程を維持管理できるかについて、レビュー(確認および見直し)を行います。

もし、内部規程あるいは業務手順に問題などがある場合、それらの箇所を修正しておきます。

ステップ4: 登録認証機関の選定および申請手続き

登録認証機関の選定

どの登録認証機関に認証してもらうか、認証の依頼先を決定します。登録認証機関によってサービス内容あるいは料金などに違いがあるため、いくつかの登録認証機関から見積もりを取り寄せて検討することを推奨します。

なお、認証機関については、以下のウェブサイトに掲載されている有機JAS登録認証機関を参照してください。

また、有機JASの認証取得を予定している事業者の担当者は、有機JASの講習会を受講することが必要となるため、登録認証機関の選定は遅くとも内部規程のレビュー前に終えておく必要があります。

申請手続き

登録認証機関の決定後、有機JASの認証の申請手続きに入ります。まず、申請用紙を入手し、これに必要事項を記入します。併せて、圃場、飼育場あるいは工場などの図面、内部規程、および記録様式など必要書類を添付し、登録認証機関へ提出します。

ステップ5: 実地検査および判定

実地検査

申請後、登録認証機関から派遣された検査員による実地検査が行われます。

なお、実地検査において不適合が発見された場合、検査員から是正要求が提示されます。

判定

検査員からの報告を受けた後、登録認証機関において判定委員会が開かれ、最終的な認証結果が決定されます。